vLLM

GPUを買わずに、大きいモデルを動かす — クラウドGPUという選択肢(仕組みと手順の解説へ)

vLLM(ブイエルエルエム)は、オープンモデルをAPIサーバーとして動かすための無料の推論エンジンです(UC Berkeley発のOSS)。1人で使うチャットの快適さではなく、多数の同時リクエストを捌くスループットに特化しており、企業がオープンモデルを自前ホストするときの事実上の標準になっています。

何が新しかったのか — PagedAttention

LLMサーバーの隠れたコストはKVキャッシュです。従来は会話ごとに「最大長ぶんの連続領域」を先取りで確保していたため、VRAMの大半が「まだ使っていない予約席」で埋まっていました。vLLMのPagedAttentionは、OSの仮想メモリと同じ発想でKVキャッシュを小さなページに分割して必要な分だけ割り当てます。無駄が消えた分だけ同時に載せられる会話数が増え、同じGPUで数倍のリクエストを捌けるようになりました(SOSP 2023論文)。

もう一つの柱が連続バッチングです。バッチ内の全員が書き終わるのを待たず、終わったリクエストの席に次のリクエストを即座に入れ替えます。この2つの合わせ技がスループットの源泉です。

Ollama / LM Studioとの住み分け

Ollama / LM StudiovLLM
主な用途1人で使うローカルチャット複数人・アプリからAPIで叩く
モデル形式GGUF(llama.cpp系)safetensors / AWQ / GPTQ / FP8
VRAM不足時CPUオフロードで粘れる基本は「全部VRAMに載る」前提
インターフェースコマンド1つ / GUIOpenAI互換APIサーバー

vLLMは起動時にVRAMの約9割を確保する設計(既定値)で、複数GPUへの分散(テンソル並列)も標準機能です。「手元のPCで1人で使う」ならOllama系が、「チームや社内アプリに提供する」ならvLLMが適材です。

HFで「AWQ」「FP8」「W8A8」派生を見かけたら

Hugging Faceでモデルを探すと、同じモデルにGGUF版とは別に AWQ・GPTQ・FP8・W8A8 といった量子化派生がぶら下がっていることがあります。これらは主にvLLMなどのサーバー系エンジン向けの形式です。手元のOllama / LM Studioで動かしたい人がダウンロードすべきはGGUF版のほうで、サーバー系形式は(対応が進んでいるNVFP4MXFP4も含めて)vLLM側の世界だと覚えておくと迷いません。

当サイトとの関係

当サイトの判定はGGUF量子化を前提にした「1人で動かす」基準です。vLLMでのサービング(同時接続数×コンテキスト長でKVキャッシュが膨らむ世界)は別の計算になるため、判定表の◎△×はそのまま流用できません。大きめのモデルをvLLMで試したい場合は、クラウドGPUを時間貸しで借りるのが手っ取り早い経路です。

関連用語

参考資料(出典)

▶ あなたのPCで動くモデルを自動判定する(スペック送信なし・ブラウザ内完結)

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